技術・技能分析手法SAT(Skill Analysis for Traing)普及の背景
技術・技能分析手法SATが今日のように普及した背景について
SATの論理、しくみが理解しやすいこと、身近なこと
各地でこの記載を指導する時に感じるのは、この内容を語る時に受ける反応の良さです。
ISO取得で現場では少なくともこの種の書類が整備されています。
これをどのように改善できるか、実用性の高い内容に変えられるかという視点から説明すれば
容易に合意が得られるのです。
技能習熟理論を引き合いに出すまでもなく、すでに現場での受け入れ体制は整っていることが追い風となっています。
この意味で、導入のし易さが挙げられます。
これまでの手順書、標準作業書の書き方と大きな差異がないことがプラスに作用しています。
これまでの書き方とどこが違うのかという質問も受けるほどです。
そして、すでにある現場の資産を出発点にすることができるからです。
改善活動の一環として作業化できます。
現在の内容をプロジェクターで投影しておいて、その場で省略している記述を書き入れていくことで良いのです。
適用できる範囲が広いこと
SATはどのような作業にも適用が可能なことです。
短時間で行われる作業、長時間にわたる作業、見た目ではわからない作業でも技能分析が可能です。
製造業に限らず、サービス労働においても適用が可能なことです。
製鉄所を例にとってみると、多種多様な分野の仕事があります。
商品企画から生産計画、原料管理、溶解、圧延、品質検査、製品分析、出荷、物流、メンテナンス、事務、労務、教育・・・・と続きます。
これは電子機器の製造に置き換えても同様に多様です。
これらのどの分野でも、作業でも適用できます。
もともと技能分析はそのようでなければ現場では採用されません。
SATの普及はこのことに応えています。
短時間の技能分析で完了できること
SATは技能分析表作成に時間を要しないことです。
良い技能分析が短時間で作成できます。
最も時間のかかる部分は見た目で隠れている、カン・コツの明瞭化です。
これについても一定の慣れができればスムーズに展開できます。
技能伝承の時代背景があること
技能伝承という企業に課された時代背景があったことです。
深刻な状況に陥らないように企業が本格的に取り組み始めたことがあります。
この活動にとっての要は暗黙知の形式知化ですが、ここに寄与することです。
技能分析が完了していればマニュアル化、ドキュメント化ができます。
この時代の状況無しには、このように急速な普及は無かったでしょう。